鳥居のくぐり方と参道の歩き方・真ん中は通ってはいけない?

近年は御朱印やパワースポットなどがメディアで取り上げられる機会が増え、神社の参拝方法についても気になって調べられる方が増えているようです。
そこで今回は鳥居のくぐり方について考えてみたいと思います。
そもそも鳥居とは
鳥居の意味
そもそも鳥居とは何のためにあるのでしょうか。
ご存じの方も多いかもしれませんが鳥居は神様のいらっしゃる「神域」と人間が暮らす「世間」との境界の意味があります。
また、神域に不浄なものが入らないように「結界」のような意味合いがあると考えられています。
鳥居の語源について
鳥居の語源については諸説ありますが、鳥の止まり木「鶏居」からきているという説や「通り入るところ」から鳥居となったという説があります。
鳥居のくぐり方について
本題の鳥居のくぐり方についてですが、神職の作法を基準としてご説明したいと思います。
ただ、前提としてお伝えしておきたいことがあります。
- あくまで1つの方法であって絶対的なものではない
- 違うくぐり方をしても悪いことがあるわけではない
- 神様への敬意をもって鳥居をくぐることが大切
という点です。
あくまでも人が考えた神様への配慮の1つですので他の人に強制したりすることのないようご注意をお願いいたします。
1.鳥居の前で立ち止まって一礼をする
これから神域に入りますので「失礼します」というような気持で一礼をしてから鳥居をくぐると丁寧です。
神職の作法としては礼の角度は15°ですが、一般の方はあまり細かい点まで気にすることはないかと思います。
2.真ん中を通らない

人の中央を縦に真っすぐ通る線を「正中(せいちゅう)」と言いますが、神様の正面から伸びる真っすぐ伸びる線も「正中線」と言い神様の通り道と考えられています。
よって鳥居をくぐる際や参道を歩く際は真ん中を避けて歩きます。
3.正中に対して外側(遠いほう)の足から入る
正中線に対して外側の足から歩を進めて鳥居をくぐります。
こうして書くとわかりにくいかもしれませんが、

- 鳥居の右側から入る時・・・右足から
- 鳥居の左側から入る時・・・左足から
というように正中から遠い方の足から入ります。
やむを得ず真ん中から鳥居をくぐることもあるかもしれませんがこの際は
- 左足から入る
ようにします。
神社では正中が最上位、次に左側(神様に向かって右側)、そして左側(神様に向かって右側)という決まりごとがありますので下位にある足から入るというような考え方です。
4.帰る時も鳥居のところで一礼
帰る際も鳥居をくぐったら180度向きを変えて一礼すると丁寧です。
この際ですが、正中に対して背を向けないようにするのがポイントです。

どこを歩いていたかで右回りになるのか左回りになるのかが決まりますが、参道の真ん中を意識して「真ん中を向くように向きを変える」と考えるとわかりやすいかもしれません。
全部の鳥居で一礼(お辞儀)は必要?しないケースは?
鳥居の前で立ち止まって一礼すると書きましたが、「たくさん鳥居のある神社は全部一礼しないといけないの?」と疑問に思った方もおられるかもしれません。
この点については状況によって変わってきます。
例えば伏見稲荷大社のようにたくさん鳥居が並んでいるところで全て一礼をするのは無理があります。また、車道に鳥居が建てられている場合、そこから先が神域という雰囲気も感じづらい面があります(昔は神域だったのかもしれませんが)。
こうした場合は一礼は必要無いように思われます。
鳥居の前で一礼をするというのは神様への敬意の表し方のひとつであって強制的なものではありませんので、ご自身が参拝される際に「ここから神域という感じがする」「神様のところへ近づいてきた」と感じられる鳥居のところで一礼されるのがよろしいかと思います。
参道はどこを歩けば良いのか
参道を歩く時も鳥居をくぐる時と同様に正中(真ん中を)避けて歩きます。
- 最上位・・・正中(真ん中)
- 上位 ・・・左側(社殿に向かって右側)
- 下位 ・・・右側(社殿に向かって左側)
という考え方に基づいて、社殿に向かって右側を歩くという考え方もありますが、神社で指定があればそれに従って歩きます。
当社は鳥居をくぐって右側に手水舎があるため、写真のように矢印を設けて参拝順路をご案内しております。

参道で正中を横切る時
参道で正中(真ん中)を横切るときは、ほんの少し頭を下げて横切ると丁寧です。
「前を失礼します」というような気持ちでの動作です。
鳥居をくぐってはいけないとき
忌中は神社への参拝を避ける
鳥居をくぐってはいけない時もありまして、それは忌中の期間です。
鳥居をくぐってはいけないというよりは神社に参拝してはいけない期間といったほうが正しいかもしれません。
忌中は故人を偲ぶ期間と言われており、この間は神社参拝やお祝い事への出席を控えるようにします。
忌中の期間について
忌中の期間については地域性もあるようですし、故人との関係よっても変わってくるのですが一般的なところですと
父母、配偶者が50日、祖父母が30日とされています。
一般的な目安を表にしてみます。
個人との関係 | 忌中の日数 |
---|---|
父母・配偶者 | 50日 |
祖父母 | 30日 |
兄弟・姉妹 | 20日 |
子 | 20日 |
叔父・叔母 | 20日 |
また、配偶者の親族の場合はこの表から1つ繰り下げた日数となります。
鳥居のくぐり方・さいごに
今回は鳥居のくぐり方についてご説明させていただきましたが、根底にあるのは「神様に対して失礼が無いように」という気持ちです。
「こういったくぐり方があるんだ」と参考までにご覧ください。
少々違う方法でも崇敬の念を持ってご参拝いただければ問題ありませんので、あまり難しく考えずご参拝いただければと思います。